気密性は必要なのか？気密性の高い家のメリット・デメリットを解説

家づくりについて調べていると、「高性能な住宅は気密性が高い」と書かれていることが多いと感じたことはありませんか？気密性は住宅性能において重要な要素のひとつですが、なぜ重要かといわれると、いまひとつピンとこないという方が大半でしょう。そこでこの記事では、気密性とは一体何なのかということについて解説します。

そもそも気密性ってどんな性能？

気密性とは家の密閉度を表す性能で、分かりやすくいえば家と外の隙間がどれぐらい空いているかを示しています。

高性能な住宅には「高気密」「気密性能が高い」と表現されているものありますが、なぜ気密性が増すと住宅性能が上がるのでしょう？その理由は家の快適性に関係しています。

たとえば気密性の低さとして、部屋の窓を全開に開け放っていると仮定し、その状態でエアコンを作動しても思った通りの温度になかなか到達しないことはもちろん、空気が外に漏れているため、電気代もかさんでいくでしょう。

また、外の空気が直接入ってくるため夏は熱がこもりやすく、冬はとても寒くなります。ほかにも、湿気を含んだ空気が侵入すると、結露やカビなどの原因にもつながり、結果的に住宅の寿命縮めてしまいます。

上記の例は極端ではありますが、このように気密性が低いと快適性の低下に直結し、電気代の負担も増すばかりか、耐久性を低下させる原因にもなるため、家づくりでは高い気密性が求められるわけです。

なお気密性は「Ｃ値」という単位が用いられており、この値が小さいほど気密性が高いことを示しています。一般的な住宅のＣ値は10㎠/㎡とされており、この大きさはA3用紙1枚に相当します。

一方高気密をうたった住宅のC値は5㎠/㎡か2㎠/㎡ほどの数値であり、これはB5用紙1枚分、はがき1枚分と同程度のサイズになるほか、中には切手ほどの隙間しかない高気密住宅も存在します。

気密性の高い住宅のメリット・デメリット

それでは次に気密性の高い住宅のメリット・デメリットについて見ましょう。

気密性が高い住宅のメリット

気密性が高い住宅のメリットとしては、快適性や省エネ性能の向上が挙げられます。

空気は暖かい空気から寒い空気に移動する性質も持っており、たとえば夏はいくら部屋を涼しくしても熱い空気が部屋内に侵入するため部屋が蒸し暑くなったり、冬はいくら部屋を暖かくしても隙間から空気が抜けてしまうため、気密性の低い家ではいくら温度を調整しても快適に過ごしづらくなるわけです。

しかし気密性が高まると室内の空気が外に漏れにくくなるため、部屋内が快適に過ごしやすくなるほか、エアコンのパワーを余すことなく伝えられるようになり、結果的に少ない電力で済ませられるようになるなど、電気代削減にも貢献できます。

また、気密性の高さは防音性能の向上にもつながるため、都心部など騒音に悩まされやすい地域にとっても嬉しいポイントといえるでしょう。ほかのメリットとしては、健康面の向上も期待できます。

というのも家の外には空気のほか、ホコリや花粉、黄砂、PM2.5といった有害物質も含まれており、気密性が高いと室内に侵入する隙間が少なくなることを意味するため、有害物質による健康被害も抑えられます。

また、「ヒートショック」のリスクを抑えられる点も忘れてはなりません。ヒートショックは激しい温度差によって血管が収縮し、その結果意識障害など重大な疾患を引き起こす症状で、風呂場や脱衣所でよく起きるとされています。

しかし、高気密住宅であれば室内の温度を一定に保ちやすく、温度変化が起きにくくなるため、ヒートショック防止につながります。

気密性が高い住宅のデメリット

ここまで読むと、気密性が高い住宅はよいこと尽くしにも思えてきますが、実際はその限りではありません。まず気密性を上げるには空気の侵入口となる窓を減らしたり、開閉部分を少なくしたりする必要があるため、部屋の開放感は損なわれる恐れがあります。

また、気密性が高い家は外部空気の侵入は防ぎやすくなるものの、内部の空気はこもりがちになるため、ハウスダストによるシックハウス症候群といった症状に見舞われる恐れもあります。

また、気密性を上げるには当然相応の素材や設備、人件費といった費用もかかるため、コストが割高になる点も忘れてはなりません。

高気密な家では「換気」が重要な理由

上記で解説したように、高気密住宅は外部空気の侵入が防げる一方、部屋内の空気がこもりがちになるデメリットを抱えています。

従って適切な換気を施さなければ、シックハウス症候群による健康被害に加え、部屋内に熱がこもって蒸し暑くなったり、湿気の貯まりやすさから結露の原因にもつながってしまったりなど、さまざまな悪影響が起きる可能性も考えられます。

何より私たちも呼吸すると二酸化炭素を吐き出していることから、換気が不十分だと部屋内に二酸化炭素が充満していくため、この点も考慮すれば換気がいかに重要であるかがお分かりのことでしょう。

そのため高気密住宅をつくるうえでは、気密性だけでなく換気性能も考慮しなければなりません。

ちなみに換気性能は24時間換気システムの設置が義務付けられているものの、その方法や種類に関しては多岐にわたっているうえ、気密性と換気のバランスの取り合いも住宅会社によって異なっています。

そのため高気密住宅を探すうえでは、換気方法の違いについて調べたうえで、好みの気密設計にレイアウトしてくれる会社を選ぶ必要があります。

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まとめ

気密性は家の快適性と密接な関りを持っており、気密性が高まると外の空気を防ぎやすく、部屋内の空気を逃がしづらくなるため夏は涼しく、冬は暖かく過ごしやすくなります。また、エアコンも効率良く部屋内に伝えられるため、電気代を抑えられたり、少ないパワーで温度に調整できたりなど、省エネ性能も向上します。

とはいえ、気密性を上げるだけでは不十分であり、快適性を上げるには気密と同時に換気にも注意しなければなりません。この気密と換気を適切なバランスに保った家こそが本当の意味で気密性の高い住宅といえますので、注文住宅を検討中の方はぜひ押さえておきましょう。