家の結露は怖い!壁内結露が発生する理由と防止法

公開日:2024/12/05

壁内結露

冬や梅雨の時期に、窓とサッシに結露が発生して困ったという経験をしたことのある方も多いのではないでしょうか。結露はカビが発生する原因と言われており、家族の健康にも影響を及ぼす危険性があります。また、結露は壁の中にも起こることがあります。壁の中なので見つけづらく、知らぬ間に住宅の寿命を縮めているケースもあります。そこで今回は、壁内結露が発生する理由と防止法について、くわしく解説していきます。

壁内結露とは?

一般的に知られる「結露」は、室内の空気中に含まれる水蒸気が外気との温度差がある窓などで冷やされることで水滴へと変わる現象のことです。窓のほかにも、冷たい飲み物が入ったグラスの表面でも見受けられます。

一方で「壁内結露」は、目に見えない壁の内部に発生する結露のことを指します。壁の中に湿気が入り込むことで発生し、冬だけでなく夏にも発生する可能性があります

室内に発生した結露は、見つけ次第拭き取ることでなくすことができます。湿気がこもらないように通気を良くするなどの工夫を取ることで、発生を抑制できるでしょう。

しかし、壁内結露は、一見すると発生しているかどうかを見極めることができません。見えない部分に発生するため、気づいたときには被害が大きくなっているケースがほとんどです。壁の変色や建て替えによって壁を壊して初めて発覚することもあります

普段あまり使っていない和室や押し入れがカビ臭いと感じる場合には、壁内結露が発生している可能性が高いでしょう。

壁内結露が発生する理由

壁内結露が発生する主な理由を3つ解説します。

外部と室内の気温差

水蒸気を含む暖かい空気は、温度が低い方へと流れていく性質を持っています。そのため、壁を通って冬場は室内から室外へと、夏場は室外から室内へと移動します。

その際に、冷えた外壁に当たると急激に冷やされ、水蒸気を含むことができる限界の温度を下回ると結露となります。

不十分な換気

換気が不十分な環境においては、室内の湿気が壁の内部に閉じ込められることがあります。湿気が蓄積されることで壁内部の相対湿度が高まり、結露が発生します。

とく、浴室やキッチンなどの湿気の多い場所では、適切な換気が求められます。

不適切な断熱材

断熱材が劣化すると、外部からの冷気や湿気が壁の内部に入り込みやすくなります。断熱性が低下すると壁内の表面温度が下がり、湿った空気中の水蒸気が冷却されてしまい、結露の発生の要因となります。

壁内結露を放置すると起こりうる被害

壁内結露を放置していると、住宅だけでなく、生活する家族にも悪影響を及ぼすリスクがあります。起こりうる被害について解説します。

耐久性・断熱性の低下

壁内結露が発生することで、住宅の耐久性が低下する恐れがあります。結露は、天井や壁、床などの建材にカビやサビなどを作りだし、最悪の場合腐食することもあります。建物を支える柱や梁が腐ってしまうと、万が一地震が発生した際に建物を支えられない可能性があります。

また、断熱材にカビが発生して劣化することで、十分な断熱性能を発揮できなくなります

耐震性能が発揮できなくなる

前述した通り、壁内結露が発生すると本来建物が持っていた耐震性能を発揮できなくなる可能性があります。柱や梁が腐食すると建物の強度が落ちます。

腐食した状態で地震が発生すると、振動を受け止めることができずに甚大な被害をもたらすかもしれません。壁内結露は住宅の寿命を縮める要因の一つであるため、早めの対処が必要です。

健康リスクが上がる

結露を放置していると、その湿気によってカビが発生します。その結果、カビを餌とするダニやチャタテムシなどの虫が家の中に集まってきます。

虫の死骸やフンなどの物質はアレルギー反応を引き起こすことがあります。人がこれらを吸い込むことで、アトピーやアレルギー性皮膚炎などの症状へとつながります。

壁内結露の発生を防ぐ方法

このように、壁内結露は住宅だけでなく、生活する家族の健康をも脅かします。本項目では、壁内結露の発生を防ぐための方法を紹介します。

室内で温度の低い場所を作らない

結露が発生する大きな要因は「温度差」です。家の中の温度差をできる限り減らすことで、結露の発生を抑制できます。

具体的な方法としては、結露が発生しやすい窓に「断熱シート」を貼ったり、雨戸を取り付けて外気の侵入を防いだりすると効果的です。また、暖房を使用する際には、クローゼットを開放してサーキュレーターなどで室内の温度を一定に保つと良いでしょう。

室内の温度を均一に保つことで、壁内や家具の裏などでの結露の発生を防止できます。

こまめに換気をする

換気は、最強の結露対策と言っても過言ではありません。換気をして室内に発生した湿気を外に出すことで、結露の発生を防げます。

お風呂で換気をするのは、浴室内に発生した水蒸気を捨てるためです。そのほかにも、料理中や洗濯物の部屋干し、お風呂に入った後などは湿度が高くなりがちなので、換気扇を回して換気しましょう。

ただし、冬場や梅雨の時期は、換気による結露対策は効果を発揮しません。梅雨の時期は換気することで、外気の湿気も取り入れてしまいます。その結果、結露を防ぎきれずにカビの発生を許してしまいます。

また、冬場の換気は、室内の湿気を外に出すと同時にせっかく暖めた空気まで外に逃がしてしまいます。冬の暖かい空気を捨てることは、経済的にも環境的にも望ましくありません。

そのため、冬場や梅雨の時期の結露対策としては、室内での除湿対策をおすすめします。

できるだけ湿気を取り除く

室内に除湿器や除湿剤などを設置して、結露の元となる湿気を取り除くのも結露対策として有効です。とくに暖房を使っている間は、空気中に含むことのできる水蒸気量が増加します。

そして、室温が下がるとともに含むことのできる水蒸気量が減少し、結露の発生へとつながります。このように室温が下がるタイミングで除湿器を使うと、より効果的です。

なお、灯油ファンヒーターやガスファンヒーターは、燃焼する過程において水蒸気が生じます。使用中はどんどん室内の湿度が高まるため、つけたまま放置することは避けましょう。室内の湿気を防ぐためには、電気式ヒーターやエアコンといった暖房器具の方がおすすめです。

また、洗濯物の部屋干しは、室内の湿度が高まります。結露を防ぐためには、なるべく室外干しするようにしましょう。日射量が減少する冬は、室内の方が乾きやすいのではないかと思われがちですが、屋外の方が乾燥しているため、屋外で干した方が早く乾きます。

さらに、冬の時期には乾燥対策として加湿器を導入している家庭も多いかもしれませんが、加湿器の使い方によっては結露が発生する恐れがあります。とくに朝方は外気が冷え込んでいるため、結露が発生しやすい環境です。

夜間のつけっぱなしは、結露の大量発生につながります。また、室内の湿度の目安としては、45~50%ほどがおすすめです。

まとめ

今回は、壁内結露が発生する理由と防止法について解説しました。結露には主に2種類あり、そのうち目に見えない部分に発生する結露を壁内結露と呼びます。サッシや窓に発生する結露は目視で確認できることから拭き取るなどの対応ができますが、壁内結露の場合、気づいたときには手遅れになっているケースも少なくありません。壁内結露を放置していると、建物の劣化だけでなく健康被害をもたらす可能性があります。結露の発生を防ぐためにはこまめに換気をしたり、湿気を取り除いたりする対策が効果的です。とくに、冬場や梅雨の時期は湿気がこもりやすいので、除湿器や除湿剤などを設置して対策しましょう。本記事が参考になれば幸いです。

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