住宅の耐震性とは?地震に強い家を建てる際に必要なこと

公開日:2024/11/14

耐震性

日本は、世界でも有数の地震大国といわれています。そんな日本で安全に暮らすためには、耐震性に優れた家づくりが欠かせません。地震に強い住宅を建てるためには、性能や住宅の構造について理解する必要があります。そこで今回は、住宅の耐震性について詳しく解説していきます。

地震に強い家を建てるためには「耐震等級」をチェックしよう

地震に強い家を建てる前に、まず「耐震等級」について知っておく必要があります。耐震等級とは、建物が地震に対してどのくらいの強度を発揮するかを示す指標です。2000年に制定された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」にもとづいて作られました。

具体的には、地震が発生した際に構造躯体が倒壊したり、崩壊したりしづらいかどうかを表しています。3段階にランク分けされており、等級の数字が高いほど優れた耐震性能を誇ります。

耐震等級によって、専門知識がない方でも建物の耐震性を客観的に評価することができます。

耐震等級は3つのランクに分けられている

耐震等級は3段階にランク分けされています。こちらでそれぞれくわしく解説しましょう。

耐震等級1

耐震等級1は、震度6強から7程度に相当する地震が起こっても倒壊・崩壊しないといわれています。1981年に改正された建築基準法で定められた最低限の耐震性能があることを表しています。

3等級の中でもっとも低い等級であり、一般的な戸建て住宅はほとんど耐震等級1レベルの性能を持っています。ただし、建築基準法が施行される以前に建てられた住宅は旧建築基準法が適用されているため、基準を満たしていないケースもあります。

耐震等級2

耐震等級2は、耐震等級1において想定されている地震の1.25倍強い地震が発生した場合にも、倒壊したり崩壊したりしないレベルの耐震性があることを表しています。耐震等級2に該当する建物は、病院や学校などの災害時の避難所に指定される建物と同等のレベルの耐震性があります。

なお、耐震等級2以上に分類される建物は「長期優良住宅」として認められます。丈夫で長持ちする住宅であるとして行政の認定を受けることができ、税金やローンなどの優遇が受けられます。

耐震等級3

耐震等級3は、耐震等級1において想定されている地震の1.5倍の地震が発生した際にも倒壊や崩壊しない耐震性があることを表しています。具体的には、防災の拠点となる警察署や消防署と同等の耐震性があるといわれています。

耐震等級3は、耐震等級の3つのランクの中でもっとも優れた耐震性を誇ります。

耐震性を高める3つの方法

耐震性を高める構造としては、3種類の方法が挙げられます。それぞれの特徴を紹介します。

耐震構造

「耐震構造」とは、建物自体を頑丈に作ることで、地震の揺れに耐える構造のことです。柱や梁、主要な壁などを固くつなげることで、強い揺れに抵抗します

具体的には、柱と柱の間に筋交いと呼ばれる補強材を入れたり、構造用合板を貼った耐力壁を設置したりして耐震性を確保します。耐震性を高める方法の中ではもっとも低コストで施工できるため、一戸建てはこの耐震構造を取り入れていることがほとんどです。

なお、建物自体は地震の揺れを受けるため、上層階になるほど強く揺れます。

制震構造

「制震構造」とは、壁の中にダンパーなどの制振装置を設置することで、建物の揺れを吸収する仕組みです。低層マンションにて多く採用されていますが、近年は一戸建てに導入するケースも増えてきています

建物の揺れを吸収することから、強い地震が起こった際にも建物の損傷を最小限に抑えられます。また、自然災害による風揺れ対策としても効果的です。

耐震補強工事として後付けすることも可能ですが、新築時に組み込む場合と比べると効果は弱まるとされています。

免震構造

「免震構造」とは、建物と地面の間に免震装置を設置することで、地震の揺れを建物に伝えにくくする仕組みです。高いコストがかかるため、一戸建てではほとんど見られません。基本的には、マンションにおいて多く採用されています

地面と建物とが離れているので、大きな地震が起こっても揺れを感じにくく、家具などの倒壊を防げます。

家の構造による耐震性の違い

家の構造によっても、耐震性に違いが生まれます。代表的な構造や工法について解説しましょう。

木造

木造住宅とは、構造躯体に木材をメインで使った住宅のことです。日本の気候風土に適した構造といわれており、国内の戸建て住宅の8割以上は木造を採用しています

材料が軽くて組み立てやすく、ほかの工法に比べて低コストで建てられることから、多くの施主に支持されています。さらに、吸湿性や断熱性といった住宅性能にも優れています。

なお、木造工法の中にもいくつか種類があります。そのひとつが「木造軸組工法」です。

木造軸組工法は、日本に古くから伝わる伝統的な建築工法です。柱に梁を通して組み上げるため、職人には一定以上の技術が求められます。

間取りの自由度の高さが特徴的であり、将来的にリフォームする際にもスムーズに進められます。ただし、防火性や耐震性においては「ツーバイフォー工法」に劣ります。

ツーバイフォー工法とは、2インチと4インチの角材と合板を組み合わせる建築工法のことです。骨組みを造るのではなく、面を組み立てて造ります。

耐震性が高く、システム化された合理的な工法なので、工期が短縮できる点が魅力的です。ただし、壁で支える構造なので、間取りに制限が生まれる可能性があります。

なお近年は、木造軸組工法であっても金物で補強するなどの工夫によって、防火性や耐震性を確保する住宅メーカーも増えてきています

鉄骨造

鉄骨造は「軽量鉄骨」もしくは「重量鉄骨」を骨組みに取り入れた建築工法です。いずれも地震に強い頑丈性が魅力的ですが、熱やサビに弱いというデメリットがあります。火災などの高温時には、強度が急激に低下します。

また、耐震構造を維持するためには、多くの鉄骨を使用しなければならないため、間取りやデザインの自由度は低い点も難点です。基礎工事のコストが割高になりやすいことから、一般的な住宅においては採用されることはあまりありません。

鉄筋コンクリート造

鉄筋コンクリート造とは、柱や梁などの強度が求められる部分に、鉄筋でできた枠組みにコンクリートを流し込んだ素材を用いる建築構造です。鉄筋は「引っ張る力」コンクリートは「圧縮に強い」という2つの特徴を組み合わせたものです。

鉄筋コンクリート造は、地震が起きても倒壊しづらいという特徴があります。デザインの自由度が高い点も魅力的です。

ただし、木造よりも熱伝導率が高いことから、1年を通して寒暖差の多い日本の気候風土には適していません。快適な住環境を実現するためには、高額のコストが必要とされます。

また、建物自体が重くなるので、地盤の状態によっては改良費用もかかります。鉄筋コンクリート造は、商業施設やマンションなどの大型の建物に採用されることがほとんどです。

まとめ

今回は、住宅の耐震性について解説しました。住宅の耐震性は「耐震等級」と呼ばれる指標で表します。耐震等級は1~3までランク分けされており、数字が大きいほど優れた耐震性があることを意味しています。耐震等級3の建物は、耐震等級1の建物と比べて1.5倍の耐震性を誇ります。耐震性を確保するためには「耐震構造」「制震構造」「免震構造」という3つの方法がありますが、コストの安い耐震構造が一般的です。耐震構造は、柱や梁、主要な壁を固くつなげることで、地震の揺れに対抗します。構造は目に見えない部分だからこそ、信頼できる施工先を選ぶことが大切です。本記事が参考になれば幸いです。

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