高断熱住宅の基準「HEAT20」とは?G1・G2・G3のグレードなど解説

公開日:2024/05/30

heat20とは

地球温暖化やエネルギー問題が世界的な課題となる中、日本でもカーボンニュートラルや省エネ化が推進され、環境に配慮した住宅づくりが大切とされています。住宅のカーボンニュートラルや省エネ化を達成するためには、断熱性能の向上が欠かせません。

とくに、住まいの断熱性能向上はその中心的な要素として位置づけられています。なぜなら、高い断熱性能を持つ住宅は、家庭内のエネルギー消費を抑え、CO2排出を削減できるからです。

このような理由から、国も断熱性能の基準を強化し、省エネ化を促進しています。その中で、注目を集めているのが「HEAT20」です。

そこで今回は、HEAT20とはなにか、そのグレードであるG1・G2・G3について詳しく解説します。

HEAT20の概要

HEAT20とは「20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」の呼称であり、略称です。地球温暖化やエネルギー問題に対応するため、住宅の断熱性能の向上に注力しており、高断熱性能の技術とその評価方法を確立し、健康で快適な住まいの普及を目指しています。

目的

HEAT20は、建築・設備・創エネがバランスよく調和した住宅を最低限コストで実現することを目的としています。たとえば、断熱材や高性能窓を使った建物に加えて、効率的な暖房・冷房設備、そして太陽光発電システムを組み合わせることで、エネルギーの自給自足を目指す住宅が提案されています。

地球温暖化やエネルギー問題に対応するため、住宅の断熱性能の向上に注力しており、高断熱性能の技術と評価方法を確立し、健康で快適な住まいの普及を目指しているのが特徴です。

基準を満たす住宅は、快適で健康な暮らしを提供するだけでなく、地球環境にも優しい選択肢となるでしょう。

グレードと地域区分

HEAT20は、各地域で快適・健康・経済的に暮らせるよう家の断熱性能の基準を決めています。基準はG1・G2・G3の3段階に分かれており、G3が最も高い性能を示しています。

3つのグレード

HEAT20では、断熱性能を評価する3つのグレードが設定されています。基準はG1・G2・G3の3段階に分かれており、G3グレードが最も高い断熱性能が求められます

まず、G1グレードでは、1・2地域では冬場の最低室温がおおむね13℃を下回らない性能が求められ、3〜7地域では10℃を下回らない性能が必要です。次に、G2グレードでは、1・2地域で15℃、3〜7地域で13℃を維持する性能が求められます。

さらに、2019年に追加されたG3グレードでは、1・2地域で16℃、3〜7地域では15℃以上を保つ性能が要求されており、最も厳しい基準となっています。

なお、断熱性能は、室内と外気の熱の出入りがどの程度しやすいかを示す「UA値(外皮平均熱貫流率)」と、太陽の光がどれだけ室内に入るかを示す「ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)」で評価されます。UA値が低いほど高い断熱性能が求められます

さらに、HEAT20では、地域ごとに定められた「住宅シナリオ」に基づき、2つの追加指標「NEB(室温)」と「EB(省エネルギー)」を満たすことも求められます。指標も地域によって異なる基準値が設定されており、快適で経済的な生活環境を実現するために重要です。

UA値とは

UA値とは外皮平均熱貫流率ともいい、住まいの熱効率や断熱性能を表す指標のひとつです。住宅の内部から外壁や屋根、床、窓などの外皮を介して外部へ逃げる熱量を、外皮全体で平均した値です。

住宅全体の熱損失量を外皮合計面積で割った値で、値が小さいほど、外部からの熱の流入や建物内部からの熱の漏れが少なくなり、断熱性能が高い住宅であることを示します。逆に、UA値が大きければ、断熱性能が低い住宅となるでしょう

快適な住環境を求めるなら、HEAT20が推奨するG2〜G3に相当するUA値を目指しましょう。

8つの地域区分

HEAT20は都道府県単位ではなく、各地域の気候特性に応じて8つに分けられています。なぜなら、日本は南北に長く、最南端の沖縄と最北端の北海道では気温が大きく異なるからです。このため、家の中を10℃〜15℃に保つためには地域ごとに異なる断熱性能が求められます。

具体的には、数字が小さいほど気温が低く、より高い断熱性能が必要です。たとえば、北海道は地域1に分類され、非常に高い断熱性能が求められます。一方、地域8の沖縄は冬でもあまり寒くならないため、特別な断熱基準が設けられていません。

このように、地域ごとの気候に応じた断熱基準を設定することで、どの地域でも快適に、経済的に過ごせるようにしています。

HEAT20とZEHの違い

HEAT20とZEHはどちらも省エネ住宅の基準ですが、そのアプローチに違いがあります。HEAT20は断熱性能のみを地域ごとに基準として設けています。

一方、ZEHは「Net Zero Energy House」の略で、断熱性能を高め、高効率な設備を導入することで、年間のエネルギー消費を実質ゼロにする住宅です。断熱性能を高めるとともに、太陽光発電システムやエネファームなどの設備を導入してエネルギーを作り出し、省エネ家電や効率的な冷暖房システムを活用してエネルギー消費を抑えます。

また、HEAT20では、1・2地域でG1グレードのUA値は0.34です。ZEHは、0.4以下となっており、より求められる条件が厳しいといえます。

国の施策としてZEHの認定を受けることは重要ですが「冬は暖かく、夏は涼しい家にしたい」「光熱費を抑えたい」といった具体的な要望があるなら、HEAT20をクリアした住宅をおすすめします。室内の温度を一定に保ちやすく、快適で健康的な生活環境を実現できるでしょう。

HEAT20基準を満たした住宅の特徴

基準を満たした住宅は、優れた断熱性能を持ちます。そのため、快適な住環境だけでなく、経済的にもさまざまなメリットがあります。特徴を詳しく見ていきましょう。

どの部屋でも快適に過ごせる

HEAT20の基準をクリアする住宅は、高い断熱性能を持ち、家全体がほぼ同じ温度に保たれます。たとえば、リビングだけでなく、暖房がない部屋や廊下、トイレ、脱衣所なども冷え込む心配がありません。冬場に寒い廊下やトイレに行くのが億劫になることもなく、家のどこにいても快適に過ごせます。

G3レベルに該当する住宅は、寒冷地や冬の寒さが厳しい地域でとくに有用です。なぜなら、これらの住宅は冬の最低室温を15℃前後に保てるからです。

暖かい部屋から急に寒い部屋に移動するなど、急激な温度変化によるヒートショックの危険性が高まります。健康リスクを抑えられるのも、大きなメリットでしょう。

結露やカビを防いでくれる

高性能の断熱材を使用することで、壁面の表面温度が上昇し、室内の窓ガラスなどに結露が発生するのを防ぐことが可能です。

結露が発生すると、室内に湿気が増え、カビの発生が促進されます。カビはぜんそくや喉の痛み、アトピー性皮膚炎などの健康問題の原因になるため、結露対策は重要です。

さらに、建物の内部で結露が発生すると、柱や梁などの構造体が湿気を含み、劣化する原因になります。断熱性だけでなく防湿性も持ち合わせた断熱材を使用することで、構造体の劣化を防ぎ、家全体の耐久性を高められるでしょう。

省エネ効果を期待できる

高い断熱性能により外気温の影響を受けにくく、少ない冷暖房費で部屋全体を快適な温度に保つことが可能です。

具体的には、断熱性能が高いため、夏場は室内が外気よりも涼しい状態が保たれます。そのため、冷房をほとんど使用せずに快適な室内環境を維持できます。また、冬場には外気からの熱の逃げを防げるため、暖房器具の使用頻度を抑えて部屋を暖かく保てるでしょう。

まとめ

住宅を建てる際に省エネ性能を求める方が増える中、検討すべき基準のひとつがHEAT20です。HEAT20は、とくに断熱性能に厳しい基準を設けており、家族が快適で健康的に暮らせる環境を提供します。

また、現代のエネルギー料金の上昇を考慮すると、家づくりでは断熱性能の向上がますます重要になっています。HEAT20基準の住宅は、その高い省エネ効果により、将来的な光熱費の負担を軽減し、家計に優しい暮らしを実現できるでしょう。

おすすめ関連記事

検索

【NEW】新着情報

「広い庭がほしい」「生活動線がスムーズな家にしたい」など、憧れのマイホームに夢を抱く方は少なくありません。注文住宅は自由度が高いので、自分たちの希望を存分に詰め込むことができます。 一方で、
続きを読む
先進的窓リノベ2024事業とは、環境省が実施する高い断熱性を持つ窓のリフォームへの補助金制度です。条件を満たすことで、リフォームにかかる工事費用に関して最大200万円の補助金が受け取れます。
続きを読む
地球温暖化やエネルギー問題が世界的な課題となる中、日本でもカーボンニュートラルや省エネ化が推進され、環境に配慮した住宅づくりが大切とされています。住宅のカーボンニュートラルや省エネ化を達成す
続きを読む